午後の遺言状

朝10時の映画祭「午後の遺言状

老年の舞台女優が夏期休暇で訪れた避暑地で過ごす間の出来事。

主人公のようこはさすが女優、いつも華やかな色合いのお洋服を着ている。サングラスしたり、お洒落に気を使っている。

別荘の管理人とよこは対称的で、田舎のおっかさんって感じ。言葉も地元なまり。

管理人の娘あけみは「汗かいたから」と素っ裸で川へザブーン。このシーンびっくり。川なんて、川なんて、仮に真夏でも寒かろうに!

ようこが若い頃に同じ舞台にたったとみえも別荘にやってきて、何日か一緒に過ごす。しかしとみえは痴ほう症を発症しており、旦那様に連れられてきたのだ。

痴ほう症のとみえがとても可愛らしく感じた。無邪気な子どもみたい。痴ほう症。本人よりもまわりの人間が辛いな。とみえは痴ほう症になってもいつもそばにいてくれる優しい旦那様がいて幸せだと思った。痴ほう症になって一人だったらどうなるんだろう。とても恐ろしい…。

この映画のテーマは、老いと向き合うとか、生と死ってことかな。

別荘のご近所さんやとみえちゃん夫婦の死。とみえちゃん夫婦の死を表す演出が不思議な演出だった。黒子数人が棺桶をかついで海から陸へあがってきた。意味がわからなかったけど、それが夫婦の死を表すんだってこと、後から気づいた。

管理人とよこから突然の告白。あけみはようこの旦那の子だと。管理人とよこはようこの旦那の不倫相手だった!

びっくりようこ。
とよこはこれっぽっちも悪気なし。
「悪いことしたと思ってねぇ!これは純愛だ」と。

映画を観賞後に知ったが、この映画の監督ととよこ役の女優さんは長いこと不倫関係だったとのこと。監督が奥様と離婚だか死別してやっと長い愛人生活から正妻になったと。そして、この映画を撮影中はがん闘病中で、体調悪いなかの撮影だった。そして公開を待たずに亡くなったと。「これは純愛だ!」ってセリフ、監督が長いこと愛人してくれた奥さんにそう言わせたのかな。

亡くなってもスクリーンの中で生きてる。後生に残る。俳優さんって素晴らしい職業だなあ。

映画のお話自体は、すっごい面白いわけじゃないけど、このような背景を知って「そうだったのか…」と思った。

映画の最後のシーン、ようこが自分が死んだ時に棺桶を打つ用の石を別荘に飾っておいたけど、その石をとよこは川に投げ捨てる。それは、「あなたはまだまだ元気に生きてくでしょ!この石、まだまだ必要ないでしょ!」って意味なんだねきっと。

そしてようこは森の中で雑誌社の取材を受けている。ライトをあてられ、いかにも女優!有名人!

まだまだ元気に生きるわー!って感じで終わった。よかったよかった。

後から気づいたけど杉村春子って東京物語に出てた女優さんかー。

東京物語、海外から評価されている映画によく入ってる。

東京物語の良さがわかる外人って感受性すごいな!